中級者のためのカードマジック講座

 おすすめの本は「カードマジック事典(東京堂出版) 」 です。その名の通り事典で、古今東西、非常に多くの技法からマジックが解説されており、是非持っていたい本です。これもカードマジックをやる人ほとんどが薦める名著です。例えば、ネタのあるカードマジックを買ってきて、技法が分からなかった時などは、この本を見ればまず載っています。ただ、ものすごい情報量の上に、挿絵は少なめで、初心者には若干分かりにくいですし、またたくさんありすぎて、どれがおもしろいのかも分からないという点は注意が必要です。

 その点DVDなど映像で見るとその観客の反応、効果が一目瞭然で分かりやすいです。海外のレクチャービデオで有名なのは「イージー・トゥ・マスター・カード・ミラクルズ 」です。プロも使う本格的なマジックばかりで、傑作選です。僕はこれでカードマジックの虜になりました。

 最近「テクニカルなカードマジック講座 」という本がでました。これはDVD付きで値段も手頃で素晴らしい本です。もちろん題名の通り難しいですが、覚えがいはあります。難しいマジックにチャレンジすることでさらにマジックのおもしろさが分かるのではないでしょうか。

 最後、技法について 触れます。中級者がマスターしたい技法は「ダブルリフト」と「コントロール」です。

 最近、前田 知洋さんをはじめとするクロースアップマジシャンが、TV等でよく使う技法は「ダブルリフト」「ダブルターンオーバー」です(技法についての解説は、上記で紹介した「カードマジック事典(東京堂出版)」では「マルティプル・リフト」としてp79に、「奇術入門シリーズ カードマジック(東京堂出版)」にはp101に記載があります)。この技法を使った有名なマジックは真ん中にいれたはずのカードが一番上から現れる「アンビシャスカード(せり上がるカード)」です。この手順を習得するには「アンビシャス・カード 」というDVDがあります。アンビシャスカードで有名なDARYLがFISMというマジック会のオリンピックでGOLD MEDALをとった時のすばらしい手順がすべて解説されています。もちろん難しいですがすごいです。「ダブルリフト」の技法は他にも、移動させたり、変化させたりする時にも重宝し、近代カードマジックには欠かせません。これをマスターすれば一気にレベルアップすること間違いありません。ただ、覚えるにはそれなりの練習と経験が必要で、タネだけ見てすぐできるようなものではありません。テレビで見ていても、マジシャンによってうまい下手がありますし、また同じ「ダブルリフト」でもマジシャンによって細かな点はそれぞれ異なります。僕も、種を知ったのは小学校の頃でしたが、中途半端な理解だったので、人前で見せてもすぐばれてしまい、たいしたことはないとずっと思っていました。しかし、大学生になって、改めてこの技法を使ったマジックを見て、この技法のすごさに感動し、再度練習しました。最初は、怖くて人前で、なかなか見せる気になれませんでしたが、2-3年少しずつ練習して、自信がつき、最近では自身をもってできるようになりました。

 あと、重要な技法は「コントロール」で、具体的には真ん中に返してもらった相手のカードを、一番上や下に移動させる技術です。相手のカードを当てたり、変化させたりする時に欠かせない技法です。この「コントロール」の方法にもいくつかありますが、簡単で有用なのが「ダブルカット」(「カードマジック事典(東京堂出版)」にはp23に、「カードマジック(東京堂出版)」にはp158にに記載があります。)です。「ダブルカット」なら数日ですぐマスターでき、これをマスターすると、相手に選んで返してもらったカードを自由に操れるようになります。安易な方法なので、あまりにこれに頼るのはよくないとも言われますが、まず、これを使って流れをおぼえて、さらに「パス」(「カードマジック事典(東京堂出版)」にはp63に記載があります。)などの高度なテクニックに進めばよいと思います。